2975561 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

専業トレーダー DaTsU

気を転ずる事 



 相場が強くなってくると強気になる人、弱くなると、何処までも下がるので
はないかと思う人、とても多いと思います。そういう時は何を見ても何を聞い
ても弱気になるのですが、得てしてそういうときこそ底値になることが多いも
のです。相場の雰囲気に飲まれてしまう、というのは昔から変わらないようで
す。


 米も弱く、人気も揃い、我思い入れも弱き節、その後、是非上がるものなり。
人々の気も強く、上がると志し候米は、決して下がるなり。兎角、百俵上げの
米は下がること計りと考うべし。たわひもなく弱き米は、上がること計りと考
えべく申すこと肝要なり。

 「相場が弱く、弱気の人が多く、自分も下がるのではないかと思っていると
きはその後、かならず上がるものです。みなが強気で上がると思っている相場
は必ず下がるものです。百俵も上げた相場はどこまで上がるだろうと考えるよ
りもいつ下がるのだろう、と考えておいた方がいいのです。どことなく弱々し
い相場は逆にどこまで下がるのかを考えるよりもどこで切り返してくるのが上
がることを考えることが大切なのです。」

 下がっている相場はどこまでも下がると思い、上がっている相場はどこまで
も上がる、と思い勝ちです。上がっている相場を見ると、出来高もでき、どこ
で買っても儲かるように思え、「ちょっと高いところだけど買ってしまおう」
と買いついたところが天井、というようなことも良くあることです。「もうだ
めだ」と投げた(売った)ところが底になったり、とどうしても相場について
流れに乗っているつもりでも相場に振り回されて高値で買って安値で売る、と
いったようなことが多いものです。そういった時には是非、ここで書かれてい
ることを思い出して見てください。自分も含めて皆が買いだと「今」思うとい
うことは是より高いところはいったい誰が買うのでしょうか?皆が買ってしま
うとそれより上を買う人がいない、つまり、下がってしまうということになり
ます。逆に誰もがだめだと思って売ってしまったあとは誰も売る人がいなくな
り、株価も戻る、と言う事になります。ですから上がっているときは「どこま
で皆が買うのか」を考えて皆が買う(自分も買いたくなる)ときに売るとその
後は下がるものです。上がっているときには売り場を探し、下がっているとき
には買い場を探すのが相場でうまく行くコツと言えるでしょう。


 高下これにあり其後保ち合いの節、なんとなく弱く見え、色々考え、諸方聞
き合わすといえども強味は見えず。此の間に、是非、是非2~30俵方も引き下
ぐべき模様故、ここにて売らずんば後れになるべしと、しきりに売り気進み立
ち候節、気を転じ買い方に付くべし、是伝なり。我至って、弱気にて買い方に
つくこと、はなはだ危く、ならぬことなれども、此の書を守り、一分の存意を
立てず買い入るる時は、極めて利運なり。是非上ぐべしと買い気進み立ち候節
も、是又気を転じ売るべし、米商いの秘伝なり。常々、此の心持ち忘るべから
ず。我強気の節は、人も強気と思うべし。弱気の節も同じ。

 「高安のあった後、保ち合いとなり、何となく弱気に見えるものだからいろ
いろと材料を探して、いろいろなところで話を聞いても強気は見えない時があ
ります。こういったときは下に放れてすぐにでも20~30俵も下がるように見え
て、ここで売らないと売りそびれてしまうのではないかと思うものです。そし
て、売る気になった時に気持ちを入れ替えて買い方に付くのがいいのです。是
は秘伝です。自分が弱気なときに買いに出るのはとても危なくて出来ないこと
なのだけれど、この書物を信じて目をつぶって買いに出ると儲かるものなので
す。逆にこれは絶対上がる、と思って買いに出る気になったときは気持ちを入
れ替えて売るべきなのです。これが相場の秘伝と言うものです。いつも、こう
いった気持ちを忘れてはいけません。自分が強気なときは人も皆強気で十分に
高くなっている、と思うべきなのです。弱気のときも同じで自分が弱気なとき
は人も皆弱気なのです。」

 下がるべき条件が揃っているように見え、売りやすいような時に慌てて売る
と安値を売り叩いてしまうことがよくあります。よく考えて見れば自分が売り
やすい環境というのは誰もが売りやすく、もう既に誰もが売り切ってしまって
いるようなことが多いのです。ですから、そういった時こそ自分の気持ちに逆
らうように買い向かうのが正解となることが多いのです。自分が弱気になって
いるときに買いに出るというのはとても買い難いのですが、自分が買いにくい
ということは皆も買いにくいわけで、逆に考えればまだ買っていない人が多い、
ということなのです。ですから、少し戻ったところなどでは「底入れ完了」と
ばかりに皆が買い始め、相場が戻ってくるのです。人より「半歩だけ」先に行
動することが必要ということで、皆と同じ行動をしたり遅れて後から付いてい
ってもなかなか儲からないものです。


 此の米是非、是非上がるべし、今日中に買うべしと進み立ち候節、二日待つ
べし。是非、是非下ぐべしと売り気進む時は、是又、二日待つべし。是、極意
の秘伝なり。すべて、天井値段の時に成っては、見計らい第一なり。天井値段
出る時は、売るべしの心専一なり。底値段の節は買うべしの心専一なり。この
心掛け忘るべからず。

 「この相場は絶対上がるだろう、今日中に買わなければならない、と思うよ
うな時は2日待つべきです。間違いなく下がるだろうと思ったときもこれもま
た、2日待つべきです。是は秘伝です。天井圏にあるときは良く見ることが大
切です。天井圏にあるときは売り場を探すことに専念した方がいいのです。逆
に底値圏にあるときは買い場を探すことだけを考えるべきなのです。このこと
は忘れないようにしたいものです。」

 相場を見ていると、慌てて買いついたり、この売り物を買わないと売りがな
くなる、と思うような時があるものです。そういった時に慌てて買いつくと高
値を買ってしまったり、よく考えないで買ったために次の日になって業績の下
方修正を発表したり、ということが多いものです。買わなかったからといって
損をするわけではなく儲けそびれるだけなので慌てて買って損をするよりはい
いのです。ここでは「2日」待つべきだといっていますが、2日にこだわること
なくよく考えて買ったり売ったりした方がいいでしょう。逆に「いくらで売る
ためにはいくらで買わなければならないから、もう少し待とう」とか仕掛ける
ときはよく考え落ち着いて買いに出たり、売ったりしたいものです。


 相場に対峙する時は、細心の注意を払って、大胆に、時には相場の雰囲気や
人の意見に流されない眼力、胆力をもつことが大切になってきます。人に流さ
れないよう、自分のスタイルを持って相場に向かいたいものです。



© Rakuten Group, Inc.